« 相場低調の中、持ちこたえたミクシィ【2121】 | メイン | 『フィナンシャルジャパン』11月号にブランド・メッセージが掲載されました »

『コモディティ』化進行企業を見極める(補足 ミクシィの場合)

2006年09月19日 投稿者 K : 2006年09月19日 09:19

株式投資のヒント今日は『コモディティ』化進行企業を見極めるの補足として、どのような観点で企業を評価するべきか一つの考え方を紹介したいと思います。

まず初めに、その企業のバリュエーションから評価することは大前提なのですが、当該企業が企業から成長期のステージにある場合は今後の成長性を見極めることが重要となります。

今回は先日上場を果たした【2121】ミクシィを例に取り上げて説明します。

■ 【2121】ミクシィのビジネスとその目論見

現在のところ、ミクシィは二つのビジネスによって成り立っています。


・インターネットメディア事業
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)国内最大手であり、SNS「ミクシィ」が会員500万人超(06年夏時点)の会員数を持ち、そこでの広告収入とプレミアム会員収入が収益となります。

・インターネット求人広告事業
求人サイト『Find job』を運営。求人企業からの掲載料の支払いが収益源となります。

上記ビジネスの内、投資家の皆さんが注目しているのは、ミクシィ会員数の伸び(530万会員以上)であり、同社と同様なビジネスモデルを持つ会社も存在しているものの会員数で圧倒的な存在となっている点ではないでしょうか。これは、SNSの性格上、コンテンツや登録者数の少ないSNSへユーザが移行することは考えづらく、まさに先行者利益が確保されているビジネスモデルであることも注目を博しているポイントになります。

MIXI 登録者/PV推移  

上図はミクシィの登録者数とページビュー数(ネットレーティング社)の推移であり、安定的に増加しています。また、米国のSNSサイト『MySpace』でも2005年6月から2006年6月の1年間に1600万人から4600万人と利用者数を伸ばしていることからも他国でも実証されたビジネスモデルであることが分かります。

MIXI 利用者数シェア  
上図はミクシィの総ページビュー数におけるシェア(ネットレーティング社)の推移です。1位ヤフー、2位楽天に次ぐ順位であり、2004年のミクシィ立ち上げから2年弱で3位へ上り詰めたことになります。
収益の源泉が広告事業ですから、広告の単価となるPV数の増加(利用者の増加)は広告収入の増加を意味します。

ここまでを纏めると、以下のことが分かります。

  • 参入障壁が高く、優れたビジネスモデルを有していること
  • 利用者数も安定的に伸びており、その成長性は米国『MySpace』でも実証されている

まずは、インターネットで公開されている情報からでも、その企業のビジネスと競合他社などの状況を確認することができます。

■ 【2121】ミクシィの成長性は維持できるのか?

上記だけを見ると、ミクシィは将来性がある、大変有望な企業であることが分かります。

それではリスクはないのでしょうか?次はリスクについて見てみましょう。

  • 広告事業とSNSの親和性
    上記でも説明したように、広告事業であることから、PVの多さが広告料金に反映されます。従って、今後もPV数が伸びてゆけば広告料収入は伸びていきます。しかし、SNSの性格上、検索サイトと違って、同一人物が複数のページを参照することが多い為、クリックレートが落ちることが考えられます。クリックレートとは広告(バナー等)を表示した数に対してどの程度利用者が広告(バナー等)をクリックしたかであり、表示数が多くてもクリックレートが低ければ、広告の影響力がないと判断され、広告料収入も停滞してしまう可能性があります。
     
  • ネット広告業界の停滞
    最近のヤフーや【4788】サイバー・コミュニケーションズなどの広告売上予想を見るとネット広告の売上が鈍化してくることが判明しており、広告事業を主な収益源としているミクシィに関しても、今すぐではなくとも、何年後かには売上が鈍化する可能性があります。
     

上記のように、優れたビジネスモデルをもっていても、一方でリスクを抱えていることもわかります。ですから、当該企業/競合他社のビジネスモデルの優位性とリスクを天秤にかけて吟味する必要があります。

ミクシィも今回IPOで資金を手にしたわけですから、IPOで得た資金を活用し、利用者情報を元に、CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)としてユーザのプロファイルにあった広告を出力し、クリックレートを上げる手立てを講じてくるかもしれません。また、同様にプロファイル情報との紐付けを行うことによって、ユーザと親和性の高い商品を販売するEC事業にも進出するかもしれません。
確かに、このような事業展開ができる基盤をもった企業であることは確かでしょう。

しかし、将来どのような変化が起こるかは判断しにくいものです。上記のリスクが顕在化した場合、PER300倍の企業である以上、成長性に陰りが見えた瞬間に株価は暴落することになるのではないでしょうか。

■ 投資家としての判断基準

今回はミクシィの例を出しましたが、優れたビジネスモデルを持っていても、常にリスクがあることが分かると思います。それでは投資家はどのように考えるべきなのでしょうか。

株式投資の場合、企業の業績予測に関して、その成長過程が”急”であればあるほど、期待収益率が高くなります。
従って、投下資本利益率に関して急速に向上すると予測されている中で、「急成長」の業績予測が現実的であり、その急成長にリスクを感じないのであれば、投資するといった判断に行き着きます。今回これだけ人気化してしまっているミクシィの場合はリスクよりも今後の成長性がより強く反映した株価になってしまっているのではないでしょうか。そのように判断できるのであれば、投資対象としての甘みは今のところないと判断した方がよいでしょう。

結局のところ、現在株価がリスクを許容できるほどの株価であるかを今後の成長性と天秤にかけて判断するしかないのです。

■詳しいサービス内容はこちら
 
SchelzBergerJAPAN投資顧問HPへ
個人投資家向け公式サイト: サービスご案内 


 


 ----------------------

 ■ご協力おねがいします。
 にほんブログ村 株ブログへシュルツ・ベルガー
 シュルツ・ベルガー 投資顧問
 推奨銘柄・注目銘柄


« 相場低調の中、持ちこたえたミクシィ【2121】 | メイン | 『フィナンシャルジャパン』11月号にブランド・メッセージが掲載されました »

株初心者・株入門者にも分かりやすく注目銘柄・推奨銘柄を解説するブログ