オススメ図書紹介

2008年09月16日  投稿者 半蔵 : 00:13

まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか
原題は「Fooled by Randamness」。
著者のナシーム・ニコラス・タレブはマサチューセッツ大学教授にて不確実性科学の専門家としても有名ですが、トレーダーの間ではオプションをロングするだけの特異な投資スタイルで有名です。
経済学でモデルとしている分布は正規分布を基にしている一方、実際は「べき分布」と言われる非常な偏りのある分布となるケースが多く、これは所得などに代表される経済・社会上の分布だけでなく、割れたガラスの破片の大きさと数など、自然界一般にも 見られる現象です。
タレブはこの極端な一例(黒い白鳥)を挙げ、現在の投資・投機モデルは機能していないとし、ほとんど全ての成功した投資家は「まぐれ」によるものであるとしています。

ポイントは、タレブ自身も言及しているように「ほとんど全て」であって、「全て」ではない点です。
私たちも当然ですが、「法律の改正による新市場の発生と業績の変動」なども考慮した分析に基づく場合は、「まぐれ」で議論されているものとは別の次元に存します。


勿論、だからと言ってこの本の素晴らしさが損なわれる訳ではありません。
改訂を繰り返すことにより、不確実性経済全般を一通り網羅し、ポパー主義に基づく哲学的考察もスパイスとして加味されています。
単純な一喜一憂のギャンブルに投資を終わらせぬ為に必須の知識がここにはあり、不確実性経済を学ぶ際には是非ともお奨めする本です。  

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