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『コモディティ』化進行企業を見極める
2006年09月04日 投稿者 K : 2006年09月04日 09:12
今日は久しぶりになりますが、『株式投資のヒント』として、マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が運営する基金に3兆円を寄付することを発表したウォーレン・バフェット氏の言葉から銘柄選択について学んでいきたいと思います。
ウォーレン・バフェット氏の投資銘柄の選択方法として有名になりましたが、『コモディティ』型企業には投資するな、というものがあります。
コモディティ企業とは、航空会社や電気・ガスなどの企業が上げられますが、既に商品やサービスそのものに優位性を持たず、消費者が値段によってのみ判断をするような商品を扱っている企業のことを指します。
■ コモディティ型企業への投資はすべきではないのか?
確かに、一般論としては正しいでしょう。
コモディティ企業は、商品・サービスでの特徴が出せない為、競合他社が参入してきた場合
、基本的には価格の値下げで対応することでしか優位性を保つことができません。
その結果、売上高に対する利益率は低くなり、株主資本利益率(ROE)の低下を招きます。
また、競合他社が増えることにより、市場は供給過剰の方向に流れ、当該市場での成長性も鈍化してくることが考えられます。
例えば、【4689】ヤフー、【4835】インデックス・ホールディングス、【9501】東京電力 の過去5年間のROEを比較してみましょう。この中では【9501】東京電力がコモディティ企業と言えるでしょう。
ROE比較 | 2002年 | 2003年 | 2004年 | 2005年 | 2006年 |
【4689】ヤフー | 30.20% | 47.70% | 55.00% | 46.90% | 39.50% |
【4835】インデックス | 9.30% | 14.20% | 18.50% | -130.70% | 17.40% |
【9501】東京電力 | 9.60% | 7.50% | 6.50% | 9.30% | 11.80% |
【9501】東京電力のROEは、
電力会社の平均ROEである4.2%と比べると高いROEをキープしているものの、【4689】ヤフー、【4835】インデックスと比べると低いことが分かります。
東京電力は、通信事業展開による収益源の多様化、人員削減によって電力会社の中では成長性を維持している為、単純にコモディティ型企業であると言い切ることができませんが、上図だけを見ると、ヤフーやインデックス・ホールディングスへの投資を考えた方が魅力的です。
それでは過去3年間の上記3社の株価の変化率を見てみましょう。
赤線・・・ 【4835】インデックス
青線・・・ 【4689】ヤフー
緑線・・・ 【9501】東京電力
上図を見ると、一時点では【4835】インデックス・ホールディングスのパフォーマンスが250%を記録していますが、現時点では3年前の株価水準であり、かなりのボラティリティを持っていることが分かります。【4689】ヤフーに関しても株式分割などの影響はありますが、同様にボラティリティがあり、投資タイミング次第では大きな損益を出してしまうことが分かります。このような成長性が見込まれる企業の場合、業績予想やニュースなどに敏感に反応してしまうのです。
一方で、【9501】東京電力に関しては、地合の影響、低金利からのインカムゲインを狙った株式への資金流入の影響などもありますが、株価の推移は安定して上昇しています。
これは一般的にコモディティ型の業種と言われる電力会社であっても、一括りで投資判断できないことを示しています。
コモディティ企業はROEが低下し、競合企業の参入によって業績も変化してしまう為、利益の変化が激しいと言われますが、東京電力はこれに該当していません。もちろんコモディティ企業への投資は株価と投資のタイミングにもよりますが、避けるべきです。但し、大事なことは、コモディティ企業と盲目的に信じてしまうのではなく、本当に他事業への展開など成長性がないのか、他事業への展開力がないのかを見極めることが重要なのです。
■ 成長性が見込まれる企業への投資のカギ
それでは、ヤフーなど成長性が見込まれる企業への投資は良くない選択なのでしょうか?
ヤフーのROE推移を見ると、ROEは鈍化していますが、30%以上をキープしており、その点をみれば優良企業であると言えます。
しかし、投資においては、投資時点の株価に対して株価が割安であるか、将来に渡って予想される成長性が維持できるのかが重要であることは言うまでもありません。
ヤフーやインデックス・ホールディングスの例を見るまでもありませんが、新興企業など高PERが許容されるような企業の場合、成長性の鈍化、業界の先行きに対する見通しの変化に敏感に反応してしまうのです。
例えば、ITバブルのころはECサイト構築に数億円の費用がかかりました。それでは現状ではどうでしょうか?もちろんどの程度の機能をもたせるかにもよりますが、数十万円~数百万円で構築できるでしょう。これはコモディティ化が進んだ結果であると言うことができます。
昨今では、【3793】ドリコムが上場を果たし、ブログ人気も絡んで、人気化しました。上場当初に比べると株価が下落したにも関わらず、現時点でも300倍以上のPERを維持しています。
それでは今後もPER300倍を許容できる成長性を維持できると言えるでしょうか。
特にIT企業に多い傾向ですが、IT技術の進歩は早く、他の技術に消費者が移らないビジネスモデルを持たない場合、価格競争の波に打ち勝つことは難しいでしょう。
ドリコムの場合も新しい商品の開発などブログシステムでのライセンス料ビジネス以外に目を向けていかないと淘汰されてしまう可能性もあるのではないでしょうか。
ITバブル時代の勝ち組であった楽天もECサイトからの収益モデルから金融事業からの収益モデルへの転換があったからこそ、今日があるということを忘れるべきではありません。
また、先日、Amazonはサイトでのサプリメント、化粧品などの販売を開始することを発表しましたが、ECサイトでのサプリメントや化粧品を販売している企業はどのように対応してゆくのでしょうか?今まで磐石と思われた企業であってもAmazonのような巨大企業が参入することにより、コモディティ化が進んでしまうのです。
特に成長性を重視した株式投資をする場合、どのようなビジネスモデルをもっていて、そのビジネスモデルが他社参入の影響を受けないものなのか?競争力をもっているものなのか?他の事業領域に移ってゆける柔軟性を持ったきぎょうなのか?そこを見極める目を持つことが重要になってきます。
その企業がどういったビジネスモデルを持ち、そのサービス・商品が競争力があるのかを、冷静に見る”目”を養っていきたいものです。大事な資産を投資するのですから。
■詳しいサービス内容はこちら個人投資家向け公式サイト: サービスご案内
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