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次世代DVD規格統一交渉決裂にみる独禁法の影響(2)

2005年06月07日 投稿者 S.W : 2005年06月07日 01:18

ご存知のように、ソニー・松下連合の推すブルーレイと東芝の推すHDDVDとの規格統一の試みは破談に終わりました。東芝側はブルーレイへの歩留情報などの製造技術への不安と独占禁止法に対する警戒から、ソニー・松下としては破格の妥協案を受け容れることはできませんでした。


今回は、独占禁止法改正について概観しておきましょう。


4月20日に独占禁止法が28年振りに改正されました。改正により公正取引委員会の権限が強化されたと考えてよいでしょう。改正点は主に以下の点です。


①課徴金引き上げ
②犯則調査権限
③審判手続き等の見直し
④課徴金減免


①は純粋にペナルティを強化するものであり、②は今までの任意調査に加え、裁判所の令状にもとづき強制捜査を実施する権限を有することです。
③は今まで数年を要する場合があった手続きを迅速化する方法を提供するもので、大幅な権限強化となっています。
④が特殊で、これは公正取引委員会の立ち入り前に自己申告をしてきた最初の人は100%免除、2番目は50%、3番目は30%の減免と言われる仕組みで、不正取引を明るみにする仕組みです。
ユニークではありますが、このようなリーニエンシープログラムは海外では広く受けいられている制度です。


ただし、これらの導入には経団連をはじめ強い反発が示されており、今後2年以内に見直しが施され、一応の確定に向かうようです。


公正取引委員会としては実績をあげるためにも更に調査を強化すると見られており、今回の規格統一の試みを東芝側が拒んだのは、数字等によって裏付けられた確固たる根拠なくして規格を統一すれば、企業間での自由競争の原理に反すると目されるのを恐れてのことでしょう。


しかし、二つの規格が存在していては消費者も困ります。
これは消費者保護の原則に立つ公正取引委員会の立場に反します。
まして、国内で規格を統一しても海外での競争に晒されることに変わりはなく、安易に競争放棄と見なすこともできないと思います。
取引委員会のエゴの為に、日本が当領域において出遅れることになってはその損失は計り知れません。


勿論、こういった権限強化は海外投資家にとっては、日本は公正なルールで商業活動を行っていることを印象付けるといったプラスの要素もあります。


取引の正常化と、取引委員会の暴走がないことを期待しています。

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