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株価評価のヒント(ROEを用いる時の注意点)

2005年12月14日 投稿者 K : 2005年12月14日 05:04

こんばんは。

株価評価のヒント(PEGレシオ)に続いて、今回はお馴染みの『ROE(株主資本利益率)』について です。

『なんだ、ROEか。知ってるよ。』という方も多いと思いますが、今回はROEについて計算式を分解して、それぞれ何を意味するのか?を詳細に解説しますので、新たな発見もあるかもしれませんから、一読してみて下さいね。

個人投資家の皆さんも銘柄を選ぶ時のスクリーニング条件として、ROEが○○%以上の企業という形でスクリーニングを行っている方も多いと思います。確かに、ROEは利益を株主資本で除したものですので、『株主の立場から投資した企業の収益性』を図る指標になります。
これが意味するところは、株主が100万円投資して、毎年20万円の利益が出たとすると、この企業は5年間で株主資本分の金額を回収し、その後は全てが株主の利益となり、黄金の卵を生む鶏になる訳です。
ということは、ROEの高い企業 = 投資対象として検討に値する企業 というのは概ね正しい判断だと思います。

但し、ROEが良い企業の銘柄を選ぶ場合にも注意が必要です。
それでは、『なぜ注意がひつようなのか』を考えて見ましょう。

ROEを計算式にすると、

ROE(%) = 当期純利益 / 株主資本 * 100 (%)

になります。ここで一つ考えて見ましょう。企業の資本構成とはなんでしょう。銀行借入れなどの他人資本と株主から集めた株主資本の合計ですよね。ということは、ROEでは他人資本であるが考慮されていません。
これは、企業が借入れを増やして、少ない株主資本(固定)で経営を行った場合、当期純利益が増え、結果として、ROEは大きくなってしまうことを示しています。数字のマジックに見えるかもしれませんが、
(A) 借入れ(1億円) 株主資本(1億円) 当期純利益(5000万円)
(B) 借入れ(なし) 株主資本(2億円) 当期純利益(5000万円)
の場合、ROEは (A)では、50% (B)では、25%になってしまいます。

他人資本(借入れ = 借金)を増やしていくと、おのずとROEは高い値がでてしまうのです。

それではどうすればいいのでしょうか?
一つの解としては、ROEを分解して見ることです。

ROE(%) = (当期純利益/売上高)*(売上高/総資本)*(総資本/自己資本)
        =  (売上高利益率) * (総資本回転率) * 財務レバレッジ
       = 収益性       * 効率性       * 安全性
 

上記のように分解することができました。
ROEは、『収益性』 と 『効率性』 と 『安全性』に分解して見ることができます。

財務レバレッジとは、負債を株主資本で除した負債比率のことで、どの程度負債を利用しているかを表しています。ですから、負債比率が高いということは、ROEを高める結果になりますが、同時に財務リスク(借金による経営)を増大させてしまうことになり、注意が必要です。

また、収益性、効率性はどの程度有効に資源(資本)を使っているかですから、高い値に越したことはありません。

では、この分解したROEをどのように、銘柄選びに結びつけるのか?

一つの解決方法としては、下記のようなスクリーニング方法を取るのも有効であると考えます。

例えば、同業種内で、
1 ROE 15%以上の企業を対象
2 同様に、収益性、 効率性、 安全性 も同時に表示させる
3 財務レバレッジ(=負債/株主資本) も同時に表示させる
でスクリーニングをかけてみて下さい。

そうすると、なぜROEが高いのかが垣間見えますよね。
ROEが同様に高いのに、財務レバレッジが他よりも高ければ、その企業は借入れに頼っている企業かもしれません。他方、同等のROEでも収益性、効率性が高ければ、その企業は”金の卵”かもしれません。

前回も申し上げましたが、この指標も日本上場企業約3700社からスクリーニングして、企業を絞り込み、その上で対象企業を研究する、といった具合で使ってくださいね。

その中には、ビジネスモデルに優れた企業があなたを待っているでしょう。


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