« 1月新規入会審査 受付日程について | メイン | 1月新規入会審査 本日受付開始! »

ジェイコム・ショック みずほ証券 誤発注と証券各社の対応

2005年12月20日 投稿者 K : 2005年12月20日 09:34

こんばんは。


みずほ証券のジェイコム株誤発注問題が発生して、
早10日が過ぎ、ある個人投資家が27億円利益を挙げたとかゴシップ紙の一面を飾っていたり、利益を得た証券会社(UBS証券、モルガン・スタンレーや日興コーディアルグループ、クレディ・スイス・ファースト・ボストン、リーマン・ブラザーズ証券、野村証券)の内、数社が利益返上を申し出ているなど、さまざまな方面で話題になっています。

今回は、事件の焦点を、次第に以下の2つに絞って、思うところを書きたいとおもいます。

1、事件の責任とその改善策は?
2、今回の事件で利益をあげた証券会社の対応は?



■まず、1事件の責任とその改善策は?ですが、

今回の誤発注は、みずほ証券側と東京証券取引所での両方での統制十分にが効いていなかったことに起因します。

みずほ側のシステムでは誤発注後、警告が出ていたにもかかわらず、他の社員が気づくまでの放置されていたとのことです。
一方、東証はというと、異常に大量の売り注文(発行済み株式総数の40倍)がでているにもかかわらず、注文を却下せず、売買停止にもしなかったということです。

当たり前ですが、まず金銭的に大きなボリュームの取引、且つ、人間によるオペレーションが介在する業務がある場合は、どのように統制を行うかが重要になってきます。人はミスをするものという前提の元、業務及びその業務の統制は構築されるべきものなのです。
なぜならば、今回のような一人の人間によるミスによって、何百億もの損出を出すようなリスキーな業務の仕組みになっているということは、企業価値を著しく損なう可能性を内包したまま放置しているリスキーな企業ということになるのです。

確かに、人がやっているんだから、可能性をなくすことは無理だという意見もわかりますが、
建設会社が100mmの鉄筋を使わなければいけないところを、30mmの鉄筋を使っていたら、皆さんも激怒されることでしょう。
30mmの鉄筋を作業者が持ってきた時点で、監督官(もしくは監督すべき機関)が『それはちがう。100mmの鉄筋をもってきなさい。』という仕組みになぜなってなかったんだという意見になったでしょう。実際、今回の構造計画書偽造事件でも、世論の意見として、監督すべき機関が民間に委託されたことにより、監視機能が働かなかった弊害が指摘されています。

今回のみずほ証券、東証の業務統制の問題、システムでの不具合問題とどう違うのでしょうか。

証券会社が扱っている商品がお金(実際の取引ではデータとして扱います)であり、目に見えないもの(もちろん画面情報には表示されますが)であっても、そのシステム及び業務は構造計画書偽造問題と同様に、どのように監督されるべきかは議論されるべきです。

実際、誤発注と思われる注文が発注された場合(発行株式数以上の発注、5%以上現在の株価と売買株価が乖離しているなど)、
①システム上に警告を出す。
②上司にそのデータが自動転送され、承認されなければ、発注されない。
などのシステム上の仕組みが構築されるべきです。

例えば、昔なつかしのアメリカ横断ウルトラクイズの帽子を担当者にかぶってもらい、誤発注と疑わしき発注処理が行われた場合、担当者の帽子上のクエッションマークが音を立てて立つ形でもいい訳です。ほんとに、冗談ではありませんよ。それで、誤発注を防ぐことができれば安いものです。

どのような形であれ、株主価値、ひいては市場の信頼性を揺るがす事態を引き起こす可能性があるものは、企業の責任として、コントロールして頂きたいものです。




■次に、2、今回の事件で利益をあげた証券会社の対応は?ですが、

与謝野経済財政・金融担当相から「誤発注と認識しながら、その間隙(かんげき)をぬって自己売買部門で株を取得するというのは美しい話ではない」と利益を上げた証券会社への批判を受け、UBS証券、日興コーディアルグループ、米リーマン・ブラザーズ証券などが利益の返上を検討しているということですが、この件について、皆さんはどう受け止めたでしょうか。

『CSR等を考えたら、当然のことじゃないか』と考えていらっしゃる方も多いと思いますが、実際、建前はそうであったとしても、金融庁に睨まれたくないといった思惑が見え隠れしますね。

なぜでしょうか。現在の日本では、各証券会社は金融庁の統制化にある為、金融庁に対してできる限り悪い印象を与えたくないのです。

実際、私も金融庁の監査が入っている現場を見たことがありますが、通常業務が行われている時との雰囲気の違いに戸惑った記憶があります。最近も、ある金融会社の次長さんが『明日から金融庁の監査があるから、忙しくなるんだよ』と嘆いている現場に居合わせました。
証券会社にとって、金融庁はアンタッチャブルな存在ということでしょう。
また、金融庁の監査も最近では『企業のコンプライアンスに対する監査』に重点が置かれだしています。
ということは、金融庁に悪い印象を持たれることは、なんとしても避けたい訳です。

実際、数年前の証券会社による空売り乱用によって、空売り規制違反を行った証券会社は株式の自己売買停止や業務改善命令を出されるなどのニュースがありましたが、実際に行政処分が行われた証券会社を見ると、金融庁とうまくやっている会社とそうでない会社が垣間見えます。

最近では、東京三菱銀行)の顧客の預金約10億円が、派遣社員によって、不正に引き出された事件での金融庁の対応と、シティーバンクのPB部門の不祥事に対する金融庁の対応を見て頂くと、日本の金融業界の構造が少し垣間見えますね。

今後の証券各社の対応を注意深く見守りたいと思います。(実際、金融庁によっていっている様がかいまみえるのでしょうはないでしょうか。一方で、野村證券の対応、コメントを見るとより面白いのではないでしょうか)

今回の事件を機に、個人投資家の皆さんが、安心して投資できる環境が整備されることを願うばかりです。

 ----------------------

 ■ご協力おねがいします。
にほんブログ村 株ブログへシュルツ・ベルガー
シュルツ・ベルガー 投資顧問
推奨銘柄・注目銘柄

« 1月新規入会審査 受付日程について | メイン | 1月新規入会審査 本日受付開始! »

株初心者・株入門者にも分かりやすく注目銘柄・推奨銘柄を解説するブログ